SSブログ

『チェルノブイリ・ハート』を見る   [私の映画観]

「埼玉映画文化協会」が、福島第一原子力発電所事故から間もなく1年という今日「核のない世界をめざして」という上映会を主催しました。上映されたのは、『核のない21世紀を』『チェルノブイリ・ハート』『ホワイトホース』の3作品でした。
核廃絶の願いを凝縮した作品『核のない21世紀を』は、2001年制作。この時点で、日本で原発事故が起きるとは誰も想像していなかったということが、逆に浮かび上がってきました。

069  チェルノブイリ・ハート.jpg

『チェルノブイリ・ハート』は、2003年アカデミー賞短篇ドキュメンタリー賞受賞作品。
上映時間は40分ですが、力のある作品でした。(併映された『ホワイトホース』は、原発事故から20年後。初めて故郷に帰る青年をカメラが捕らえた20分の作品でした。)

チェルノブイリ事故から16年後の2002年のベラルーシ共和国。原発から30キロ以内は居住が禁止され、東北350キロ以内には「ホット・ゾーン」と呼ばれる局所的に高濃度汚染されている地域があります。
取材スタッフの放射能測定器の数字がどんどん上がっていきます。「ホット・ゾーン」に暮らす人たちは、「数字を見せて!」と測定器を覗き込みます。「この数字、本当の数字? 政府は(本当の)数字を発表しないから・・・」と、どこかで聞いたような台詞を呟く。不安でも、ここに暮らすしかない、おじいさんやおばあさんたち。
「こんな遠い所まで来てくれて、ありがとう!」と、手を振る姿が心に残りました。

「放射能と関係があるのは確か・・・」と、医療従事者たちは口を揃えて言います。実際に、障碍を持って生まれてくる子供の数はとても多く、医療の進んだ地域なら出産と同時に手術が可能な水頭症の子供も手術を受けられないまま放置され、子供の甲状腺がんも多い。

「チェルノブイリ・ハート」とは、穴のあいた心臓のこと。重い障碍を持って生まれてくる子供たちの呼び名でもあるそうです。心臓手術を待つ子供たちの数の多さ。現実にはほんの一部の子供が、ボランティアよる手術を受けられるだけ・・・。
地元の医師に「手を付けられない」と言われた少女が、アメリカ人ドクターの手術で心臓の穴を塞ぐことに成功する。地元の医師の1か月分の給与の3倍もするという素材が使われました。
術後、「質問はありませんか?」と問うドクターに、全身で感謝を表す母親。ドクターは「どう(反応)したらいいのか、わからないよ」と、次の手術に向かいます。いつもと同じように手術をしただけなのに・・・という複雑な思いが滲み出ていたように感じました。

必要以上に不安を煽ることは良くないと思うけれど、原発事故、放射能汚染の問題は、自分で見て、読んで、考えて、判断することが必要だと、改めて思い知らされました。

nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。