SSブログ

高田世界館の撮影    [製作日誌]

明治44年に建てられた 「高田世界館」 は、日本最古の映画館だと思います。
映画館として続いていても、建物も当時のままというところはないでしょう。
それも、当時でいうならハイカラで贅沢な建物なのです。

122 高田世界館.jpg

外壁は修繕されてきれいになっていますが、中に入るとヒビが目立つところもあります。
新しく建てるより手入れをし続けなければならないので、大金が掛かります。でも、お金の計算だけで壊してしまうには惜しい、天井も、2階のカーブも、洋風の柱も、美しい映画館です。

高田世界館の情報はこちら ↓
http://www.baba-law.jp/sekaikan/

119 映写機修理.jpg

北陸新幹線開通を記念して、大林宣彦監督の講演とフィルム上映があるということで、長年使われている映写機もメンテナンスされていました。

3月12日に伺うと、『旅する映写機』 に登場される大ベテランの加藤元治さんと映写機修理の継承者・永吉洋介さんが、上映に間に合うように調整をしていました。

120 映写機修理.jpg

2台ともランプハウスが新しくなりました。
作業中に天井裏にある排気管のファンが壊れていることが分かり、排気管を撤去して、直接、室内に排気する方式に変更したそうです。
太い排気管のない映写機を、私は初めて見ました。
もちろん、高熱の出る部分なので、いろいろな工夫をされたことと思います。
レンズも交換し、マスクの調整など、ずっと、二人で作業をしておられました。

今回のロケの目的は、大ベテランの映写技師・久保田定さんが、若き支配人の上野迪音さんに映写技術を伝授するところを撮るというものでした。
撮影のチャンスがあったら・・・と連絡していたのですが、久しぶりにフィルム上映があるという連絡を頂き出かけました。

3月14日は、大林監督の講演に併せて 『転校生』 が上映されました。
1回しか上映しないので、いわゆる “玉掛け映写” でした。
フィルムをつなぐことをせずに、届いたままの玉の状態で、2台の映写機で交互に映写します。
前日に久保田さんと上野さんのやり取りは撮影できたので、今日は久保田さんの貴重な “玉掛け映写” を記録しようと思っていたのですが、なんと、映写が始まると同時位に映写機のベルトが切れてしまいました。
溢れるフィルムを手早く下のリールに巻き取ったものの、そのまま、手動で巻き続けなければならず、ひとまず私がその役を担当。撮影どころではありません。久保田さんは切れたベルトの修理に取り掛かりました。
上野さんは、もう1台の映写機の切り替えなどの作業をしなければなりません。フィルムの捲きが大きくなればなるほど重くなるので、もう一人助っ人を頼むことになり・・・と、映写室は大変なことになっていました。

切れたベルトは使い物にならず、他で使っていたベルトを同じ長さに切り、錐で穴を開け、そこに金具を通して、止まっている間に (隣の映写機の回っている時間は12・3分) 修理をするという大緊張の時間!
それを何とか乗り越えて、ほっとしたら、なんと1巻だけ “裏捲き” だったのです。慌てて対処するという、撮影チャンスに恵まれたというのか、どう表現して良いのか分かりませんが、フィルムを架け替える間、館内は真っ暗になり、昔の映画館上映の再現のようになりました。
見事な “玉掛け映写” を記録するはずが、思いがけない記録を撮ってしまいました。
それにしても、最後まで映写できたのですから “映画の神様” がおられたのだと思います。

今日は朝から晴天で、気温もぐっと上がりました。
布団を干し、シーツや布団カバー・枕カバーを一気に洗濯して、ベランダはすごいにぎわいに[わーい(嬉しい顔)]
[晴れ]は有難い!

nice!(17)  コメント(6)  トラックバック(0) 

nice! 17

コメント 6

シルフ

「高田世界館」実に素敵な映画館ですね。いつか訪れてみたいです。
by シルフ (2015-03-18 08:52) 

森田惠子

シルフさん>きっと、あちこち、探検したくなると思います。
最初は回り舞台もあったそうです。
2階から見下ろすように観る映画もステキですよ~!
by 森田惠子 (2015-03-18 17:24) 

sig

こんにちは。
この記事は先日読み始めたところで用ができて中断していました。すごい体験をされたのですね。それこそフィルム上映の神髄に触れたというか、滅多にない状況に出会われて、ある意味でとても貴重な体験でしたね。そんなお手伝いをしながら、撮影はどうされたのか、見たかったです。
by sig (2015-03-19 11:29) 

森田惠子

sigさん>本当に頼んでできる体験ではなく、感謝して良いのか・・・。
上映が無事に終わってよかったです。

撮影はさすがに一時中止して、映写の手伝いを優先しました。
動揺していたのでちゃんと撮れているか、心配です。
by 森田惠子 (2015-03-20 09:08) 

sig

カメラに動揺が写っていたら、それはそれで迫真力がありますね。笑
by sig (2015-03-20 11:30) 

森田惠子

sigさん>大先輩たちには、揺れるカメラ、寄れないカメラなど、いろいろご注意を受けていますが、いつも、動揺しながら撮っている感じなので(^^ゞ
by 森田惠子 (2015-03-20 13:25) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。